植物と昆虫の相互作用〜根と根を食べる昆虫〜

2019年7月5日

植物と昆虫は様々な場面において協力し合っています。ミツバチなどの送粉者による受粉がよく知られています。もちろん、植物を食べるという行為も植物が昆虫の餌となるという点で共生していると言えます。今回は植物のの部分と根を食べる昆虫に着目して、根と根を食べる昆虫の相互作用を解説します。

植物のバイオマス(植物の重量)の多くは根や根茎といった根系から形成されています。特に草原やツンドラにおいて、根系のバイオマスは全バイオマスの50〜80%を占めています。そして、根系があるのは、土壌中です。そこには、たくさんの土壌生物が生息しており、根系と共生しています。

目次

植物の根系の種類

植物の根系を食べる昆虫

植物の最適防御理論

根は栄養が少ない?

昆虫による食害には土壌湿度が関係している?

植物の土壌栄養塩への適切な応答が命取り

根を食べる昆虫は地上に存在する昆虫にも影響

まとめ

植物の根系の種類

ブルーム, クレス, 地球, 開花, 新鮮な, 緑, 成長した, 植物, 種子

主根型 

双子葉類に見られる。主根、側根、細根からなっている。

ひげ根型

単子葉類に見られる。ひげ状の根。

一次根、二次根

トウモロコシなどに見られ、成長初期に出る根を一次根、それ以降に出る根を二次根。

植物の根系を食べる昆虫

根系を食べる昆虫は現段階で確認されているものは

トビムシ、バッタ、ゴキブリ、カメムシ、アザミウマ、アミメカゲロウ、コウチュウ、ハエ、チョウ

植物の最適防御理論

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最適防御理論とは、植物の害虫に対する防御機構についての理論です。植物は食べられやすい部位だったり、食べられた時に植物として損害が大きい、つまり、成長阻害が著しくなってしまう部位に、より多くの防御形質が張り巡らすと言うことです。

根の場合、地上部に近いところほど食害の影響が大きいです。その理由としては、2つあげられます。一つは、地上に近い層の方が土壌生物が多く存在しているからです。土壌生物が多く存在していると言うことは、その分食べられやすい部位になってしまっていると言うことです。もう一つの理由は、地上部に近いところほど、植物の地上部に栄養を届ける過程で重要な役割をしている部位が多く存在しているからです。

だから、最適防御理論に従うと植物は根において、深層部の根より、地表に近い層の根に防御形質を集中させると言うことです。

しかし、地表に近い層の根と言った基準だけが全てではありません。以下の例のように、主根、側根、細根一次根、二次根の重要度の違いによる最適防御も行われています。

アブラナ科の例

アブラナ科の防御形質となるのは、グルコシノレートと呼ばれるわさびやマスタードの辛味成分となっている物質です。この物質が、根のどの部位に多いか調べてみたところ、主根や側根に多く、細根の部分において少ないと言う結果になりました。

トウモロコシの例

トウモロコシの場合もアブラナ科と同様にして、防御物質を分泌することによって、防御を行なっています。先ほど、トウモロコシの場合は、一次根、二次根と言う仕組みがあるのを解説しました。この2種類の根のうちより食害により植物がダメージを受けやすいのは、一次根です。その理由は、一次根は成長初期に出現するもので、成長初期の方が害虫に対する耐性が小さいと言うのが理由です。そこで、トウモロコシについても、防御物質が根のどの部分に多いか調べてみたところ、一次根に多いと言うことがわかりました。

以上の2つの例はどちらとも最適防御理論に適合しています。

このように、植物には効率よく防御する方法が昔から備わっているのです。

根は栄養が少ない?

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植物を食べる昆虫は窒素をいかに摂取するかで、成長できるか、増殖できるかが決まります。なぜかと言うと、植物には炭素は多く含まれていますが、窒素はあまり含まれていないからです。

さらに、今回注目している根を食べるっ昆虫はもっと大変です。根はただでさえ窒素が少ない植物の葉や茎など地上部よりも窒素を含まないからです。そのため、雑食性の昆虫は地表付近に集まり、落ち葉を食べて生活しているほどです。落ち葉は一応葉ですので、根よりは窒素を含んでいるからです。

根を食べる昆虫もだいぶん苦労しています。

昆虫による食害には土壌湿度が関係している?

先ほど、根には守らなければいけない部位とそうでない部位があると説明しました。でも、そういった部位の量も土壌湿度によって変わってきます。土壌湿度が低く、土壌中に水がない状況下では、いろんなところに根を張り巡らせて、頑張って水を吸収しないといけませんが、土壌湿度が高いところではその必要はありません。

この結果、土壌湿度が低い、乾燥した場所において、根を食べられるとダメージが大きいですが、土壌湿度が高い場所においては、根を少し食べられてもそんなに大きなダメージを受けることはありません。

しかし、これを鵜呑みにしてしまうのもいけません。土壌中の湿度が低いと昆虫が水のある深層に移動するため、食害のダメージが小さくなると言う研究結果もあります。畑ごとの環境によって、上記のどちらに当てはまるかを定期的な観察を行うことで、判断する必要があります。

植物の土壌栄養塩への適切な応答が命取り

植物は土壌中から栄養塩を取り入れることによりよりよく生育します。そのため、植物は栄養塩の多い土壌を好んで根をつけます。その応答能力、つまり、栄養塩の多い場所を認識して、そこに根をつける能力の高さには植物間において差があります。しかし、この応答能力が高いほど、素晴らしい植物ではないかと考えるのは間違えです。応答能力が高い植物は、土壌中の栄養塩の多い場所に根をつけます。その結果、その場所は他の場所に比べて、根が密集することになります。根が密集する場所は、根を食べる昆虫にとって、効率よく食生活を送ることができるので、根を食べる昆虫が集まってきてしまいます。そのため、食害による大きなダメージを被ることになります。

根を食べる昆虫は地上に存在する昆虫にも影響

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根を食べる昆虫は、植物の根を食べることで、植物の成長や性質に影響を与え、その植物を利用する、地上に存在する昆虫に影響を与えます。

アブラムシの例

ウスチャコガネの幼虫がナズナの根系を食べることによって、ナズナの葉の可溶性窒素の濃度が高まり、アブラムシの成長と増殖が促進される。

まとめ

根を食べる昆虫のほとんどは小さく、土壌中に存在していることが多いので、目にすることはなく、気にしていない人が多いと思いますが、とても重要なはたらきをしているので興味を持ってあげてください。